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よく分かる「高齢者歯科・訪問診療」

GUIDE
#05
おうちに行こう!〜訪問歯科診療のススメ〜

「噛めない人には噛まなくてもよい食事を」

日本歯科大学教授 口腔リハビリテーション多摩クリニック院長菊谷武先生
このコラムの著者
日本歯科大学教授 口腔リハビリテーション多摩クリニック院長
菊谷武先生

「噛めない人には噛まなくてもよい食事を」

咀嚼器官の運動障害は改善するのか?
一般に運動は、「運動範囲」「運動の力」「速さ」「巧緻性」という要素に分けることができる。運動障害はこれらのいずれか、または、複数の要素が障害されることになる。

咀嚼においても同様である。運動障害による咀嚼障害を示す者に対して訓練を行う際には、上記の運動の要素に基づき評価し、どの要素をターゲットにしているのか考慮しながら進める必要がある。なかでも舌の筋力と筋の持久力を向上させるためには、筋に負荷を与えるレジスタンス訓練が重要となる。 一方で、運動障害を後遺症とする疾患の場合、脳の器質的ダメージの程度や年齢など、様々な要因によって、運動障害を改善するべく行う運動機能訓練を行っても十分な結果が得られないことも多い。 また、口腔に運動機能の障害を呈する進行性の疾患も多く、その多くが難病指定されていることからみても、疾患の根治は困難で、さらに、原疾患の悪化に伴い、咀嚼機能も低下を示す。このような場合には、これまでのように義歯作成や運動機能訓練によって咀嚼機能を向上するといったストラテジーが設定できなくなる。すなわち、直せない運動障害、直せない咀嚼障害があるのである。

咀嚼器官の運動障害は改善するのか?のイメージ

運動障害が重症化するとどうなるのか?
時として、咬合を回復することが、結果的に固有口腔を押し広げることにつながり、舌の口蓋への押しつけ機能が十分に発揮できなくなることもあり、義歯を入れて食べると「食べにくい」「食事に時間がかかる」「むせる」などの症状が出現する。
この際には、舌機能を考慮して、口蓋面を築盛し舌接触補助床化することが求められる。時として、義歯を使用しないことで、固有口腔を減少させ、嚥下時の口腔内圧を高める提案をしなければならない場合もある。

噛めない人には噛まなくてもよい食事を
ひとが固形食品を摂取するためには、食品を咀嚼により粉砕処理し、食塊形成する必要がある。すなわち、歯や歯ぐきなどで“すりつぶす”また、舌と口蓋で“押しつぶす”ことで粉砕し、 さらには、咀嚼によりばらばらに粉砕された食品やペースト状の食べ物を一塊にまとめあげる(食塊形成)といった一連の機能が重要とされる。
一方で、上記のような理由によりこれらの動きが困難になった時には、また、改善の見込みがないと診断した時には、咀嚼機能にあった食形態を提案することになる。これらの対応は、咀嚼障害が残存したままでも十分に栄養を摂ることを目標とし、安全に食べることがきることを目標とする。たとえ咀嚼機能の向上をなしえなくても、栄養状態の改善や維持が可能であり安全に食べることができれば、生命予後にも、QOLにも関与できることになる。

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