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よく分かる「高齢者歯科・訪問診療」

GUIDE
#06
おうちに行こう!〜訪問歯科診療のススメ〜

そして、僕は在宅に向かう

日本歯科大学教授 口腔リハビリテーション多摩クリニック院長菊谷武先生
このコラムの著者
日本歯科大学教授 口腔リハビリテーション多摩クリニック院長
菊谷武先生

そして、僕は在宅に向かう

僕たちは、咀嚼障害は改善するものとして対応してきた。実際、多くの患者さんを直してきた。そして、多くの患者さんに感謝もされた。でも、今まで見てきた患者さんは、ある意味、特殊な患者さんだったということなのか? 日本人の行く末を見ると(第2回コラム参照)、最後まで元気でいられる人は、わずかに10%で、ほぼすべての人が、寿命を大きく残した状態で、身体機能を低下させている。ほぼすべての人が通院不可能になるということだ。最後まで通院してくれていた患者さんは、少数派の10%の人達だったということだ。
体調不良で予約のキャンセルが入ると、その時は気になるが、しばらくするとその患者さんのことは忘れてしまっているのが現実だ。でも、思い返せば、何人もの患者さんの顔が頭をよぎる。あの人たちは今、どうしているのだろうか。
思えば、これまで、患者さんから訪問に来てくれと言われたことがなかったから、考えたことはなかったけど、患者さんには門前払いをしていたのかもしれない。
キャンセルの電話に対し、「元気になったらどうぞ連絡を」と言わせていた。「良かったお家に行きますよ」って受付で言っておけばよかったんだ。

良かったお家に行きますよのイメージ

咬合支持の崩壊、口腔器官の運動障害は低栄養を招き、不衛生な口腔は誤嚥性肺炎を引き起こす。高齢者には質の高い口腔健康管理が求められるが、歯科医院に通院が困難になった高齢者に対する在宅歯科医療の実践は十分には行われていないのが実情である。在宅療養高齢者に対する調査において、定期的に歯科を受診している者は15%に過ぎず、75%の者は1年以上歯科受診をしていないことが明らかになっている。 医科診療所の受診については97%の者が定期的に受診をしていたのに比較すると著しく低いことがわかる。介護度別でみると、軽度要介護(要支援や要介護1)の者では比較的受診率が高めだが、中等度要介護(要介護2,3)、さらには重度要介護(要介護4,5)の者では、受診率が低下する。特に定期的受診に加え、症状があっても受診できていない状況がうかがわれる。しかし、在宅医療に関する統計(患者調査)をみると、在宅医療を受けている患者数は医科の五分の一以下にとどまる。歯科の場合、老人保健施設や介護老人福祉施設などの介護老人福祉施設等への訪問診療もこの統計に含まれるために、在宅要介護高齢者を対象とした在宅医療の実数はさらに少ないことが予想される。

患者さんは家で暮らしている。住み慣れた家で、家族の思い出と伴に暮らしている。自分をかかりつけ歯科医師と思ってくれている患者さんが通院困難になってきた時に、それで終わりでよいのだろうか?歯科医院に来てくれないのだから致し方ないのだろうか?田中さん、来るのがつらいって言っていたな。 「お家に行こう」これまで、自分を信じて通ってきてくれた患者さんのために、ある意味、歯科医院を経済的にも支えてくれていた患者さんのために。
そして、僕は田中さんのお宅に行くことを決意した。

義歯の新製の希望にこたえるべきかのイメージ

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