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よく分かる「高齢者歯科・訪問診療」

GUIDE
#04
おうちに行こう!〜訪問歯科診療のススメ〜

「なにをみて、なにをするのか?」

日本歯科大学教授 口腔リハビリテーション多摩クリニック院長菊谷武先生
このコラムの著者
日本歯科大学教授 口腔リハビリテーション多摩クリニック院長
菊谷武先生

「なにをみて、なにをするのか?」

田中さんが来院した。前回は、「噛み合わせの調整をしました。次回まで様子を見てください」と、体よく判断を先送りにしていたからか、やはり、訴えは変わっていない。それどころか、通院するのに不安があるとの発言もあった。相変わらず、状態を訴える声は弱々しく、呂律もまわらない。義歯も汚れているし…。いったい、田中さんに何が起こっているのだろう。生理的な加齢でここまで変化するのだろうか? あらためて、診療室での歩行の具合を見てみた。前かがみになって小刻みに歩く姿、気になって見た問診票の見づらい文字は、今回の訴えと何か関連しているのだろうか?口の中も、舌は汚れているだけでなく、少し震えているようにも見える。

義歯の新製の希望にこたえるべきかのイメージ

いままで、多くの歯科医師が、患者さんの全身疾患の情報を得る際には、どんな視点で見ていただろうか?多くは、歯科処置の際に伴う偶発症を回避することを念頭に情報を収集していたのではないだろうか。
田中さんの抱えるパーキンソン病という病気は、国内に10万人以上を数える進行性変成疾患である。4大症状として(1)安静時振戦、(2)筋強剛(筋固縮)、(3)無動・寡動、(4)姿勢反射障害を特徴とする。難病情報センターのHPによると症状として、下記の記述がある。「動作は全般的に遅く拙劣となるが、椅子からの起立時やベッド上での体位変換時に目立つことが多い。表情は変化に乏しく(仮面様顔貌)、言葉は単調で低くなり、なにげない自然な動作が減少する。歩行は前傾前屈姿勢で、前後にも横方向にも歩幅が狭く、歩行速度は遅くなる。」身体機能の低下に伴い、口腔機能も低下する。パーキンソン病は咀嚼障害を呈する疾患なのである。しかも、難病指定されていることからも難治性である。

そうか!噛めない理由は、義歯のせいではなかった。年齢による問題に加えて、この病気が原因だったんだ。 今後ますます高齢者が多くなり、高齢者が来院患者に占める割合が増えるだろうな。このような病気を抱えた人がどんどん来院する時代になる。いや、これまで、同じような患者さんを多く見逃していたのかもしれない。患者さんのせいにしたり、義歯のせいにしたりして・・・。

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