居宅療養管理指導(介護保険)と提供文書

代表 亀井 綾子
ケアマネージャーに行う情報提供文書
居居宅療養管理指導とは、介護認定されている患者で居宅等、介護保険請求が可能な訪問先に居住している場合に算定する指導料です。この場合、介護が優先となるので歯科疾患在宅療養管理料は算定できません。
患者のケアプラン作成のために訪問介護ステーション、訪問介護事業所、居宅介護支援、保険薬局、医科診療所、歯科診療所等のサービス関係者からの情報提供並びに指導・助言が必要となります。居宅療養管理指導費は、ケアマネージャーへの情報提供がない場合は算定できないことになっています。
情報提供の方法としては、サービス担当者会議に参加することが基本となっていますが、参加が困難な場合は、文書(メール、FAX可)により情報提供を行うことで足りるとされています。
※情報提供は、居宅療養管理指導を算定する時に毎回行います。
*情報提供すべき事項(DOC-5 PROCYONシリーズ「居宅療養管理指導 情報提供書」記入例)
- ・基本情報(医療機関名、住所、連絡先、歯科医師氏名、利用者の氏名、生年月日、性別、住所、連絡先等)
- ・利用者の病状、経過
- ・介護サービスを利用する上での留意点、介護方法等
利用者・家族等に行う提供文書
利用者・家族に対して行う指導・助言を行った場合は、文書等の交付により行うよう努めることとなっています。
文書提供する時は、歯科疾患在宅療養管理料の文書で提供しても良いでしょう。
歯科衛生士等居宅療養
歯科衛生士が居宅療養を行う時は、歯科医師の指示に基づき、患者又はその家族の同意を得て、口腔内の状態を把握し、歯科医師、歯科衛生士等が共同で管理指導計画を作成します。管理指導計画を患者又はその家族に説明し、管理指導計画書を提供します。
実地指導に係る記録を作成し、交付した管理計画書を添付しておきます。
*記録簿に記載し、指示を行った歯科医師に報告する事項
(DOC-5 PROCYONシリーズ「口腔機能向上サービス・居宅療養管理指導の提供経過記録(実地指導に係る記録)」記入例)
- ・利用者氏名
- ・訪問先
- ・訪問日
- ・指導の開始及び終了時刻
- ・指導の要点
- ・解決すべき課題の改善等に関する要点
- ・歯科医師からの指示等
歯科衛生士等居宅療養管理指導費のプロセス
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訪問診療 + 歯科医師の指示
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スクリーニング・アセスメントによる評価
口腔機能スクリーニング:患者さんの口腔機能(口腔衛生、摂食、嚥下機能等)のリスクを把握
口腔機能アセスメント:口腔機能スクリーニングを踏まえ、患者さんの解決すべき課題を把握
(スクリーニング・アセスメント評価表は院内保管)
DOC-5 PROCYONシリーズ「口腔機能向上サービスに関する課題把握・アセスメント・モニタリング評価表」記入例 -
管理指導計画
患者さん・家族の同意口腔機能向上管理計画:口腔機能アセスメントを踏まえ、歯科医師、歯科衛生士、その他の職種の者が共同して患者さん毎の管理計画を作成し、患者さん又はその家族に説明し、同意を得る。
DOC-5 PROCYONシリーズ「居宅療養管理指導 管理指導計画書」記入例
※介護カルテオプション
DOC-5 PROCYONシリーズ「口腔機能改善管理指導計画」記入例
※介護カルテオプション -
経過記録
管理指導計画の修正3ヵ月毎のアセスメント・モニタリングを行い、必要に応じて指導管理計画の見直しを行う
(アセスメント・モニタリング評価表は院内保管)
居宅療養管理指導に関する同意書について
居宅療養管理指導を始める前に患者又はその家族に管理計画の説明を行い同意を得て管理を開始します。開始時に説明を受け、居宅療養の管理に同意をした旨が記載された文書、又は居宅療養管理指導を開始するにあたっての重要事項説明書等を作成してください。
まとめ
最後に文書提供が必須なものを挙げてみました
- ・ケアマネージャーへの情報提供文書
- ・居宅療養管理指導計画書
- ・居宅療養管理指導に関する同意書
意外と少ないですね。居宅療養管理指導では、患者の状態をモニタリングしながら管理をしていくため文書が多いと感じてしまうのかもしれません。文書提供するもの、院内保管するものをきちんと理解して訪問診療を行ってください。
今回で「はじめませんか…訪問診療」は最終回となりました。訪問診療をはじめてみようかな?と思っていただければうれしく思います。最後までお付き合いいただきありがとうございました。